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植物としてのチャ


茶の木はどこから来たか

茶(チャ)の木はツバキ科ツバキ(カメリア)属の植物です。
チャの木やツバキのように、葉に厚みがあり、
表面がテカテカしていて、
冬でもいっせいに葉が落ちない樹木を
「照葉樹」といいます。
この照葉樹の樹林帯は、
インド北部から東南アジア北部、
中国南部を通って日本の関東地方まで
広がっています。
日本の照葉樹林には、
同じカメリア属のヤブツバキや
サザンカ(九州・四国と山口県)が
自生しています。
しかし、チャの木は、
日本にもともと自生していたことが証明されておらず、
中国から製茶・喫茶の文化とともに
伝来したものと考えられています。
茶産地に近い山の中には
チャの木が生えていますが、
昔の茶畑の跡や茶畑からこぼれた
種から生えた茶の木が自然に育ったものです。

チャ
チャ
ヤブツバキ
ヤブツバキ
サザンカ
サザンカ


お茶の花・お茶のタネ

お茶の花は10月から12月に花を咲かせます。
白い花弁の中に明るい黄色のおしべがたくさんあります。
花弁とがくはそれぞれ5枚づつあります。
花は下を向いて咲きます。
花のあとは、緑色の実ができます。
大きさは2〜2.5センチメートルくらいの大きさです。
熟してくると実の表面は茶色くなってきます。
翌年の、花の咲くころ、
お茶の実の表面がはじけて
中から3個くらいタネが出てきます。
タネの寿命は短く、
時間が経てば経つほど芽が出にくくなります。
取ったらすぐに植木鉢や、畑にまきます。
充分に水をやると芽がでてきます。

チャの花
チャの花
チャのタネ
チャのタネ


お茶の葉

春になると、黄緑色の新芽を出します。
これが新茶になるのです。
つまれなかった葉は、
やがて硬くなり、濃い緑色になります。
葉っぱは長い楕円形(だえんけい)で、
まわりにギザギザができます。
葉は互生(ごせい)といって
茎に互い違いに葉をつけます。

チャの新芽
チャの新芽


植物としてのチャと茶業

日本の茶園は「やぶきた」という品種が
7割以上を占めていますが、
これはたった1本の木を、さし木で増やしたものです。
さし木ですから、遺伝子100パーセントコピーです。
いわば日本のチャの木の7割以上は
1本の木のクローンなのです。
これはこの品種が総合的にすぐれた特性をもつことと、
品種が同じだと、一斉に同じような葉っぱの出方をするので
機械で摘み取るのには、とても好都合なのです。
タネで育てると、早く芽を出すのもあれば、
なかなか出さないのもある。
葉っぱの大きいのもあれば、小さいのもある。
病気や虫、寒さにも、強いもの 弱いものがある。
チャにも人間と同じように
それぞれの個体差があるのです。
個体差があると経済的ではありません。
しかし一つの生物として見たとき、
多様性はとても大切な意味を含んでいます。

現在スリランカは、紅茶の生産で有名な国ですが、
かつてはブラジルに次ぐコーヒーの大生産地でした。
しかし品種の画一化で、コーヒーさび病の大流行を招き、
それに替わってチャの栽培が大きく伸びたのです。
同じように日本のチャも病虫害が発生したときに
壊滅的な打撃を受ける危険性があるのです。
これは何もチャだけに限った話ではなく、
農業という産業では古くから起こっていることなのです。
また生物の多様性は、遺伝資源の保全という点から、
地球全体を視野にした重要な課題になっています。
この認識は徐々に浸透しつつあり、
その対策への関心も次第に高まってきています。


【写真解説】
タネから出てきた芽です。
個体差が一目瞭然です。
真ん中にある白っぽい葉っぱは、
葉緑素がもともと少ない個体です。
葉っぱの大きさもまちまちです。

チャのタネから出てきた芽


お茶の成分と効能

お茶に関しては以下の様なデータが報告されています。

埼玉県立がんセンターの疫学調査では
1日10杯以上緑茶を飲む女性が、
がんにかかる平均年齢は3杯以下の人に比べて、
7.3歳遅れている。男性では3.2歳と小さいが、
非喫煙者だけを比較すると、
女性同様に強力な防除効果が得られたとの報告がでている。

静岡県立短期大学の調査によると、
静岡県のがん死亡率は全国平均より低い。
なかでも銘茶産地である川根町では胃がんの死亡比が、
全国100に対して、男性20.8、女性でも29.2と
約5分の1〜3分の1程度という低さであるという結果がある。
この地域の人たちが、どのくらいお茶を飲んでいるかといえば、
平均して1人1日2リットル、湯のみ茶碗で軽く10杯を超える量である。
東北大学医学部の調査によると、お茶を1日に5杯以上飲む人の、
脳卒中の死亡率は、4杯以下の人の、2分の1だったという結果を出している。

【参考・引用】入間市博物館紀要 「総合的な学習の時間等での茶に関する質疑応答」八木勇


成 分 効 能
カテキン類
(タンニン)
発がん抑制作用、抗酸化作用(老化防止)、収れん作用(腸の働きを活発にする)、解毒・殺菌作用(食中毒の予防、風邪の予防)
カフェイン 大脳の働きを活発にする(眠気の除去)、強心・利尿作用
テアニン リラックス効果(緑茶の旨味成分)
ビタミンC 壊血病の予防、美肌効果、脚気の予防、疲労回復
フラボノール 血管壁の強化、消臭作用