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入間市博物館 アリット

お茶の種類と作り方

更新日:2020年10月23日

「緑茶」も「ウーロン茶」も「紅茶」も『お茶』の葉からつくられます

お茶は、全てツバキ科の常緑樹「チャ」の葉から作られますが、加工方法の違いによって、緑茶、ウーロン茶、紅茶などになります。

お茶の葉を摘み取ってすぐに加熱し、発酵(酸化発酵)しないようにして作ったのが緑茶、完全に発酵(酸化発酵)させるのが紅茶、その中間に位置するのがウーロン茶などの半発酵茶です。

また、緑茶は、加熱の方法の違いによって釜炒り製(中国式)、蒸し製(日本独特のもの)の二通りに分けられます。

注:「お茶」と呼ばれる飲み物には、麦茶やそば茶、どくだみ茶、また、ハーブティーなどもありますが、ここでは「チャ」という植物の葉を原料とする飲み物である「茶」についてご紹介します。
「チャ」の葉を使わない「茶」のことを「代用茶(だいようちゃ)」と呼ぶことがあります。

代表的なお茶の種類と作り方 緑茶(煎茶)
代表的なお茶の種類と作り方 ウーロン茶
代表的なお茶の種類と作り方 紅茶

注:図の中の「発酵」は酸化酵素(さんかこうそ)の働きによる「酸化発酵」です。
このほか、微生物の働きで発酵させたお茶を「後発酵茶」と呼んでいます。

お茶の種類と作り方

不発酵茶(緑茶)

蒸し製(日本式)

普通煎茶(ふつうせんちゃ)
普通煎茶(ふつうせんちゃ)

日本でもっとも一般的なお茶。チャの新芽を蒸して揉(も)みながら乾燥したもの。

深蒸し煎茶(ふかむしせんちゃ)
深蒸し煎茶(ふかむしせんちゃ)

普通煎茶よりも蒸しを強くしたもの。
味や色がよく出ます。
茶葉は細かく砕け、粉状のものが多くなります。

玉露(ぎょくろ)
玉露(ぎょくろ)

高級なお茶。
よしず等で覆いをし、直射日光を避けた茶園のチャの新芽を原料にします(直射日光を避けることでうまみが増します)。
製茶方法は普通煎茶と同様です。

かぶせ茶(かぶせちゃ)

わらや寒冷紗で覆いをした茶園のチャの新芽を普通煎茶と同様に製茶します。
玉露に次ぐ高級茶です。

番茶(ばんちゃ)
番茶(ばんちゃ)

硬くなった新芽や茎などを原料として普通煎茶と同様に製茶した茶。
このほかに、各地でつくられる自家用茶、粗製の茶などを指していうこともあります。

玉緑茶(たまりょくちゃ)

普通煎茶の製茶工程のうち、「精揉(せいじゅう)」という工程を省略して作った勾玉(まがたま)状の茶。
グリ茶ともいいます。

てん茶・抹茶(てんちゃ・まっちゃ)

よしず等で覆いをし、直射日光を避けた茶園のチャの新芽を原料にします(直射日光を避けることでうまみが増します)。
摘んだ新芽を蒸してそのまま揉まずに乾燥します。
これを石臼で粉にすると抹茶になります。

焙じ茶(ほうじちゃ)
焙じ茶(ほうじちゃ)

番茶や煎茶を強火で炒(い)ったもの。
香ばしい香りがします。

玄米茶(げんまいちゃ)
玄米茶(げんまいちゃ)

番茶や煎茶に、炒った玄米などを混ぜたもの。

芽茶(めちゃ)
芽茶(めちゃ)

煎茶の仕上げ工程でより分けられた芽先の部分。

茎茶(くきちゃ)
茎茶(くきちゃ)

煎茶の仕上げ工程でより分けられた茎の部分。

釜炒り製(中国式)

玉緑茶(中国式)
玉緑茶(中国式)

鉄製の釜でチャの新芽を炒って仕上げた丸い形の茶。香ばしい香りがある。

半発酵茶(ウーロン茶など)

包種茶(ほうしゅちゃ)

ほんの少しだけ酸化発酵(さんかはっこう)させたチャの芽を釜炒(かまい)りして作る茶。中国、台湾が主な産地です。

ウーロン茶(うーろんちゃ)
ウーロン茶(うーろんちゃ)

チャの芽を酸化発酵(さんかはっこう)させ、途中で釜炒(かまい)りして発酵を止めて作るお茶で、緑茶と紅茶の間に位置します。独特の良い香りがします。中国、台湾が主な産地。

紅茶(こうちゃ)
発酵茶(紅茶)

チャの葉を完全に酸化発酵(さんかはっこう)させ、急速に乾燥させた茶。
いれた時には濃いオレンジ色になり、香りが高いのが特徴です。
インド、スリランカ、アフリカなどが主な産地です。
上:キーマン(オーソドックス法)
下:ダージリン(オーソドックス法)

後発酵茶

プーアル茶(ぷーあるちゃ)
プーアル茶(ぷーあるちゃ)

チャの葉を蒸してから揉(も)んだものを積み重ね、微生物(びせいぶつ)をつけて発酵させたもの。

さまざまな番茶

「番茶」というと、一般には商品価値の低いお茶を指しますが、ここでは「蒸し製煎茶」が普及する前から日本の庶民が飲んできたと考えられるさまざまなお茶を総称して「番茶」と呼びます。

番茶の場合、茶葉の色も、いれた時の水の色も文字通り「茶色」っぽいものが多いようです。

多くの番茶は、自家用に少量作られたり、限られた地域内で流通するにとどまっているため、他の地域ではあまり馴染みがない上に、茶作りや喫茶の習慣自体が次第にすたれてきているものも少なくありません。

しかし、全国の番茶の事例は、庶民にとって多様で豊かなお茶の世界があったことを物語ってくれます。

ここでは、いくつかの事例を、作り方と合わせてご紹介します。

  • バタバタ茶の黒茶

    バタバタ茶の黒茶

    茶作りの場所:かつては福井県三方町周辺で作られていたが、現在は富山県朝日町
    茶作りの時期:7月頃
    作り方:刈る/煮る/切断/発酵/日干し
  • 足助の寒茶

    足助の寒茶

    茶作りの場所:愛知県豊田市
    茶作りの時期:1月から2月中
    作り方:刈る/蒸す/日干し/陰干し
  • 京番茶

    京番茶

    茶作りの場所:京都府宇治市
    茶作りの時期:秋口
    作り方:刈る/蒸す/焙じる
  • 美作番茶

    美作番茶

    茶作りの場所:岡山県美作市
    茶作りの時期:7月下旬から8月上旬
    作り方:刈る/蒸煮/日干し(煮汁をかける)
  • ボテボテ茶の花茶

    ボテボテ茶の花茶

    茶作りの場所:鳥取県鹿野町地方
    茶作りの時期:10月
    作り方:刈る/陰干し
  • 神山番茶

    神山番茶

    茶作りの場所:徳島県神山町
    茶作りの時期:
    作り方:枝のまま刈るか葉のみ摘む(年による)/煮る/桶詰め/天日干し
  • 釜炒り日干し茶

    釜炒り日干し茶

    茶作りの場所:徳島県木頭村
    茶作りの時期:5月
    作り方:炒る/筵の上で揉む/日干し
  • 阿波番茶

    阿波番茶

    茶作りの場所:徳島県相生町
    茶作りの時期: 7月中旬
    作り方:しごき摘み/煮る/揉む/桶詰め/ほぐす/日干し
  • 碁石茶

    碁石茶

    茶作りの場所:高知県大豊町
    茶作りの時期: 6月から7月頃
    作り方:全葉をこき摘み/蒸熱/堆積/桶詰め/切断/日干し/煮汁かけ
  • 釜炒り茶

    釜炒り茶

    茶作りの場所:宮崎県椎葉村
    茶作りの時期: 5月
    作り方:摘む/炒る/揉む/陰干し
  • 江戸時代の番茶「刈茶」

    天保年間の農業指導書をもとに再現した江戸時代の番茶「刈茶」

    茶作りの場所:
    茶作りの時期:旧暦3月から4月
    作り方:刈る/水洗い/切断/炒る/筵の上で揉む
    注:大蔵永常著「広益国産考」天保15年(1844)跋をもとに再現