お茶の質問箱
更新日:2020年12月24日
- Q1.お茶の木はどこからきたの?
- Q2.紅茶は紅茶の木からつくる?
- Q3.「お茶」じゃないお茶がある?
- Q4.お茶の色は自然の色?
- Q5.新茶ってなあに?
- Q6.荒茶(あらちゃ)ってなあに?
- Q7.やぶきたってなあに?
- Q8.「ふかむし」ってなあに?
- Q9.お茶をつくるときって、洗わないの?
- Q10.お茶の葉っぱをむしたり、釜(かま)でいったりするのはなぜ?
- Q11.お茶をつくるときって、どうしてもむの?
- Q12.茶畑の扇風機(せんぷうき)はなんのため?
- Q13.入間でつくっているのにどうして狭山茶(さやまちゃ)なの?
Q1.お茶の木はどこからきたの?
A:以前は、チャの木がもともと日本に生えていたとする「自生説」と、中国から渡来したとする「渡来説」との論争がありました。2000年代以降、チャの遺伝子解析の研究が進んだ結果、現在では、日本のチャは、栽培されているものも、山の中などに生えているもの(ヤマチャといわれる)も、中国中南部から導入された系統が主体であると考えられています。山の中に野生状態で生えているチャも、昔の茶畑の跡や、茶畑からこぼれた種子から生えたものが自然に育ったものです。
Q2.紅茶は紅茶の木からつくる?
A:紅茶も緑茶も、ウーロン茶もどれも同じ、チャの木からつくります。違いは、つくりかたなのです。ただし、それぞれにあった木があります。緑茶でいうと、「やぶきた」などです。日本でできた紅茶用の木に「べにひかり」があり、これは入間市博物館の庭で見ることができます。狭山茶をつくっている木からも紅茶がつくられ、「狭山紅茶」などといって売られているんですよ。
Q3.「お茶」じゃないお茶がある?
A:チャの葉っぱをつかわなくても、「お茶」とよばれるものがあります。むぎ茶、ハトムギ茶、こんぶ茶などがそれにあたります。外国にもハーブティー、コカ茶、マテ茶などチャの葉をつかわないお茶があります。チャの葉を使わないお茶のことを「代用茶」(だいようちゃ)と呼んで、区別することもあります。
Q4.お茶の色は自然の色?
A:お茶をいれたとき、色がきれいだとおいしそうに見えますよね。みなさんがふだん口にするお茶は色をつけていないと思ってもいいです。ただし色がきれいにでるように粉にしたお茶をまぜたものはあります。
Q5.新茶ってなあに?
A:春になって、最初に出てきた新芽でつくったお茶が新茶で、一番茶ともいいます。狭山茶の場合は4月終り頃から5月の初め頃につみ取ります。一番茶は、香りが良く、渋みや苦味が少なくさわやかな味で、うまみがあります。一番茶をつんだ後(40日から50日後ぐらい)に出てきた芽や葉でつくるのが二番茶で、番茶ともいいます。三番茶や四番茶をつくる所もありますが、狭山茶の場合は二番茶までしか作りません。
Q6.荒茶(あらちゃ)ってなあに?
A:チャの葉を茶工場でお茶にしたばかりの、半製品(はんせいひん)のようなお茶をいいます。このあと、粉や茎をよりわけたり、お茶の葉の大きさをそろえたりしてから、仕上げにもう一度お茶をかわかす「火入れ」をして、商品としてのお茶ができあがります。
Q7.やぶきたってなあに?
A:チャの木の品種(ひんしゅ)の一つです(お米でいえば、「コシヒカリ」のようなもの)。
明治41年、チャの品種の研究をしていた静岡県の杉山彦三郎(すぎやまひこさぶろう)という人が、竹やぶのそばのチャの木を二本選び出しました。一つは竹やぶの南にあったので「藪南(やぶみなみ)」、もう一つは北にあったので「藪北(やぶきた)」と名づけました。このうち「やぶきた」は、育てやすくておいしい茶をつくることができるため、どんどん全国の茶産地に広まっていきました。
今では、日本で栽培されるチャの7割以上がやぶきたですが、すべて杉山彦三郎が見つけた「やぶきた」の木からさし木などの方法で増やされたものです。彦三郎が見つけた「やぶきた」の木は、現在静岡県の天然記念物になっています。
Q8.「ふかむし」ってなあに?
A:煎茶(せんちゃ)をつくるときには、つんだ茶の葉を蒸します。この時の蒸しかげんが、お茶の味をきめる大切なポイントです。深蒸し茶は、それまでのお茶よりも蒸す時間を長くしたもので、渋みや苦味をおさえたおいしいお茶をつくろうと昭和30年ごろ静岡で開発されました。深蒸し茶は、入れた時の色がきれいな緑色になり、濃厚な味で、特に東日本で人気が出ました。特蒸し茶(とくむしちゃ)とも呼ばれます。深蒸し茶は、茶葉が細かいために、それまでの急須では茶こしが詰まってしまいます。そこで、深蒸しのお茶をいれるのに適した急須づくりの工夫がいろいろと行われています。
深蒸し茶用の急須
ステンレスの細かい網目の茶こしがついています。
Q9.お茶をつくるときって、洗わないの?
A:水で洗うと、ぬれた葉っぱと葉っぱがくっついて、むす時に、むされた所とうまくむされなかった所ができてしまうので、洗ったお茶の葉はかわかさなくてはなりません。そうすると時間もお金もかかってしまうので、ふつうは、摘んだ葉は洗いません。洗わなくても、高い温度の湯気(ゆげ)で虫やバイキンは死んでしまうので、飲んでもだいじょうぶなのです。
Q10.お茶の葉っぱをむしたり、釜(かま)でいったりするのはなぜ?
A:つみ取られたばかりのチャの葉は、ほうっておくと、皮をむいたリンゴの色が変わるのと同じで、色が変わってきます。緑茶をつくるためにはこの化学変化(かがくへんか)をとめなければなりません。それにはむしたり、いったりすると化学変化をおこさないで緑色のお茶ができるのです。
Q11.お茶をつくるときって、どうしてもむの?
A:チャの葉っぱの表面は、ロウソクのロウのようなもので守られています。葉っぱの中は細胞(さいぼう)といって、小さな部屋がたくさんあります。それらをもむことで部屋の壁(かべ)をこわすのです。そうすると、お茶を入れたとき、なかみが出てきやすくなります。その細胞のなかみがとけだすことによって、おいしいお茶が出来上がるのです。
Q12.茶畑の扇風機(せんぷうき)はなんのため?
A:茶畑にある扇風機の名前は「防霜(ぼうそう)ファン」といいます。
春になるとお茶の木は新しい芽を出します。この新しい芽はおいしい新茶になるのですが、霜(しも)にとても弱いのです。そこで高さ6メートルくらいの所にある温かい空気を防霜ファンで送って新芽が凍ってしまわないようにするのです。
Q13.入間(いるま)でつくっているのにどうして狭山茶(さやまちゃ)なの?
A:現在、埼玉県および隣接する東京都でつくられるお茶を総称して「狭山茶」と呼びます。
「狭山茶」の「狭山」は、入間市の南部に位置する「狭山丘陵」に由来します。狭山丘陵は、埼玉県と東京都にまたがった丘陵で、地図で見ると、広大な武蔵野台地の海原に、緑の小舟を浮かべたような孤立丘陵です。「狭山」とは、この広い台地の中に孤立する「狭い山」を意味する古くからの地名です。
江戸時代の終わりごろ、狭山丘陵北麓の村(現・入間市宮寺と東京都瑞穂町)の住民が、煎茶作りを開始し、ここで作られる煎茶が初めて「狭山茶」と名付けられました。明治時代の初めころ、茶作りが狭山丘陵の麓から周辺の広大な台地一帯へと広がると、「狭山茶」の名称は、周辺地域一帯で生産される茶の総称として、広域ブランド名になりました。
ちなみに、入間市のとなり(北東)には「狭山市」があります。狭山市は、狭山丘陵から離れていますが、昭和29年に市制を施行する際に、「狭山茶」の茶名から「狭山市」と名付けられました。一方、入間市の「入間」は、現在の狭山市を含む埼玉県南部の広い範囲を指す郡名で、昭和41年に市ができた時から「入間市」の名前を使うようになりました。古くからの地名と、現在の市名とが入れ替わった形になっているため、茶名と市名の逆転が起きてしまったというわけです。